ねこじゃらしー生きた語彙

ねこじゃらし

秋も深まり、エノコログサ(通称:ねこじゃらし)が黄金色に輝いています。 そんなねこじゃらしを目にして、ふと、在米中、日本人のお子さんのスピーチセラピーで「ノンタンこちょこちょこちょ」を読んでいたときのことを思い出しました。   ”いたずら ねこじゃらしが、 こちょこちょこちょ。 おでこを こちょ こちょ、 ほっぺを こちょ こちょ。”   そのとき、お子さんが言いました。 「ねこじゃらしってなぁに?」 ハッとしました。 そうなのです、私が住んでいた地域では、ねこじゃらしを目にすることはなかったのです。 「ねこじゃらし」を触ったことはもちろん、見たこともなかったお子さんには「ねこじゃらし」の意味がわからず、その単語がわからないために、ストーリーを楽しむこともできなかったのです。 語彙力をつけていくためには、量よりも質が大事だと言われています。 単語カードに単語と意味を書いて覚えるだけでは、その単語を使いこなせるようにはなりません。 その語彙を見て聞いて経験してこそ、生きた語彙が拡がっていきます。 話を『ねこじゃらし』に戻します。 例えば、そのお子さんが一時帰国の際に、道端にはえているねこじゃらしを見て、ねこじゃらしを引っこ抜いて、お姉ちゃんとこちょこちょして遊んだとします。 そこから「ねこじゃらし」という語彙だけでなく、 – ねこじゃらしの穂が垂れ下がっている様子– 黄金色に輝く様子– 引っこ抜く時の感触– お姉ちゃんとこちょこちょして遊んだ記憶 などがすべてセットになって、「ねこじゃらし」「穂」「垂れ下がる」「黄金色」「引っこ抜く」「くすぐったい」など、多くの語彙を学ぶことができるのです。 これこそ、生きた語彙学習だと思います。   暑くも寒くもない今の季節。お散歩が楽しい季節です。 ぜひ、お子さんに様々な経験をさせてあげてください。 そして、その経験を言葉にして伝えてあげてくださいね!

ゲストティーチャー&シンポジスト

シンポジウム質疑応答

12月に地域の小学校の「キャリア教育」の「ゲストティーチャー」として、1月に医療通訳研究会(MEDINT)・CHARM母子保健登録通訳者フォローアップ研修のシンポジストとして、お話する機会がありました。今日は、その報告をしたいと思います。 ゲストティーチャー 12月17日、地域の小学校にゲストティーチャーとしてご招待いただき、6年生の児童の皆さんに言語聴覚士についてお話しました。 自己紹介のあと 「言語聴覚士という仕事を知っている人?あるいは、聞いたことがある人?」と聞いてみました。 挙手は… 0(ゼロ)! そこから、 言語聴覚士の仕事内容や勤務する場所、関連業種などをご紹介し、言語聴覚士になる方法についてお話しました。 今回は、「言語聴覚士」という仕事に興味を持ってもらう事はもちろんなのですが、子どもたちが言葉やコミュニケーションに不自由のある方々への理解を深めるきっかけになったらーという願いもありました。 ですから、私自身が言語聴覚士として心がけていることや「言語聴覚士になってよかった!」と思った経験についてもお話し、体験を通して、言葉やコミュニケーションに不自由のある方々をサポートするコツも感じてもらう時間をもちました。 それから約1週間後、児童の皆さんの感想や感謝の気持ちがぎっしり詰まった、素敵なプレゼントをいただきました。その一部をご紹介したいと思います。 ぼくは、鈴木さんの話を聞くまで言語聴覚士という仕事を知らなかったけど、話を聞くうちに楽しそうな仕事だなぁと思いました。人々のために働く仕事もいいなぁと思いました。 私は言語聴覚士という仕事を知りませんでした。ですが、今回お話を聞いて、人のためになる職業なんだなぁと感じました。私も大きくなったら、人のためになる職業につきたいと思いました。お話をしてくださり、ありがとうございました。 色々なお話をしていただきありがとうございました。言語聴覚士という仕事は聞いたことがなかったけれど、今回お話していただいて、知れてよかったです。これからは、周りの方の気持ちも理解して接していきたいと思いました。 言語聴覚士のお仕事は、初めて聞いて、なにかよくわかりませんでした。でも、わかりやすいお話をきいて、人の役に立つことはとても良いことだと思いました。私は、このお話を聞いて、人の役に立つ仕事につきたいです。 児童の皆さん一人ひとりからのお手紙を読み、 「言語聴覚士という仕事を知ってもらいたい」 「言語やコミュニケーションに不自由がある方々への理解を深めるきっかけにしてもらいたい」 という目標を達成できた!と実感することができ、ゲストティーチャーをお引き受けしてよかった!と思いました。 MEDINT・CHARM主催シンポジウム そして1月12日、医療通訳研究会(MEDINT)・CHARM母子保健登録通訳者フォローアップ研修のシンポジストとしてご招待いただきました。 「就学前の子供たちの言語発達を考える~言語聴覚士の立場から」というテーマで、私からは、バイリンガル児の言語発達支援(マジョリティ言語を母語としない親をもつ子どもの言語発達支援)についてお話いたしました。 バイリンガル児の言語発達に関する基本情報から始まり、バイリンガル児の言語評価と過剰診断/過小診断といった誤診について、母語育児が推奨されるべき理由、そして通訳者との連携について話を進めていきました。 もう一人のシンポジストである、手話通訳士兼言語聴覚士の上田月美さんや、当事者の桃山学院教育大学教育学部教育学科講師オチャンテ 村井 ロサ メルセデスさんからもお話を伺い、3人の話のあと、シンポジストが参加者からいただいたご質問に答える時間もありました。 このシンポジウムには、通訳者の方々だけでなく、言語聴覚士や教育関係者など、多くの方々が参加してくださり、とても有意義で学びの多い時間となりました。 12月・1月と、通常の臨床とは異なる経験をさせていただきました。 ゲストティーチャーとして児童の皆さんや先生方との心の触れ合いがあり、シンポジストとして、関連業種の方々との輪の広がりがあり、とても貴重な体験をさせていただきました。 この経験を、これからの仕事に生かせていきたいと思います。

SMART Goalを使った目標設定ー実践編

目標

前回、SMART Goalに基づいた目標設定について、お話しました。 今日は、SMART Goalを使った目標設定ー実践編として、低学年のお子さんと高学年のお子さんの例を挙げて具体的に見ていきたいと思います。 まず、簡単に、SMART GOALの意味を復習しましょう。 SMART GOALとは、 S: Specific 具体的に M: Measurable 測定可能 A: Achievable 達成可能 R: Realistic 現実的な T: Timed 期限 という要素を含んだ目標設定です。 では、低学年のお子さんの例を見てみましょう。 S:「算数をがんばる」ではなく、具体的に「九九」と設定。 M:「九九の1の段から5の段まで間違わずに言える」というのように、間違える回数を「ゼロ」にすることを目標にすることで、測定可能な目標に設定。 A:「1の段から5の段まで」とすることで、実際に達成可能な目標にする。 R:実際に算数の授業で取り組んでいる「九九」を目標にすることで、現実的な目標に設定。 T:「12月31日まで」と期限を設定。 そして、高学年のお子さんの例です。 まず、「得意なこと」「苦手なこと」を考えることで、自分自身を理解することから始めます。 次に「苦手なこと」から「上手になりたいこと」を考えます。 そして、SMART GOALに基づき、「上手になるためにすること」を考えます。 S:「漢字を覚える」ではなく、「次の漢字テストで100点」というように、具体的な目標を設定。 M:「100点」という数字を使うことで、測定可能に。 A:現在の点数が80~90点の場合、「100点」という点数は達成可能な点数になります。現在の点数が40~50点であれば、「60点」や「70点」と設定するのが、達成可能な点数になるでしょう。 R:毎週行われている漢字テストを目標に設定することで、生活に基づく実際的な目標になります。 T:「次の漢字テスト」と設定することで、期限を決めることができます。 高学年の例で、「もし、うまくいかなかったら、どうする?」という質問に答える項目をつくっています。 これは、軌道修正の方法があるということを学んでほしいという目的があります。 目標を設定して、その目標達成のための方法を考え、実行することは素晴らしいことです。でも、1つの方法がいつもうまくいくとは限らない。うまくいかない場合は、別の方法を試してみればよい。大人の意見を参考にすることも大切なことであることを感じてもらうことで、壁に直面した場合の問題解決能力を培うことにつながります。 そして別の視点になりますが、目標設定をするうえで忘れてはならないことがあります。 それは、短期目標&長期目標という視点です。 目標設定するうえで、短期目標の積み重ねの延長線上に長期目標があるということをお子さんが理解することがとても大切です。 途中、道路が滑ってしまったり、急な傾斜があったり、赤信号があったり・・・トラブルに遭うかもしれないけれど、延長線上には、必ずゴールがあるのだということをイメージして、今日達成すること・1か月後に達成すること・3か月後に達成すること・・・将来達成したいことを考えるのをサポートします。 以上、SMART Goalを使った目標設定ー実践編を、低学年と高学年のお子さんの例を挙げてご紹介いたしました。 お子さんの発達年齢にあった目標設定をサポートする際に参考にしていただければ幸いです。

SMART Goalを使った目標設定

目標設定

今日は、「目標設定」についてお話したいと思います。 二重跳びができない 水泳がなかなか上手にならない 九九が覚えられない 朝、自分で起きれない などなど、子どもたちは様々な課題を抱えています。目標を設定しても、達成を前に途中で諦めてしまうお子さんもいます。 途中で諦めてしまうのは、必ずしも、お子さんの意思が弱いからではありません。まだ経験が少ないお子さんにとっては、目の前にあるハードルがあまりにも高く、達成不可能なことのように感じてしまうのです。 お子さんが、確実に目標を達成し、自信を積み上げていくためには、目標達成までの道のりを具体的にイメージできることが大事です。 今日は、私がセラピー目標を設定する際にも意識しているSMART GOALをご紹介します。 SMART GOALのSMARTとは、 S: Specific 具体的に M: Measurable 測定可能 A: Achievable 達成可能 R: Realistic 現実的な T: Timed 期限 という、目標達成に必要な5つの要素の頭文字をとったものです。 この5つの要素について、詳しく見ていきましょう。 SMART Goal – Specific(具体的) 最初の要素は、誰が何をするのか、具体的に述べるということです。 例えば、「勉強を頑張る」「水泳を頑張る」という目標は、具体的な目標とは言えません。 「誰が何の勉強をどのようにがんばるのか」「誰が、水泳をどのようにがんばるのか」を具体的に述べることで、より達成しやすい目標にすることができます。 SMART Goal – Measurable(測定可能) 2つ目は、目標が達成されたかどうかが明確に測定できるように、数字を使って表すということです。 「勉強を頑張る」「水泳を頑張る」という目標では、どうなれば「頑張った」ことになるのか不明瞭です。 例えば、「九九を間違わずに言えるようになる」「15メートル泳げるようになる」という目標にすれば、目標を達成できたのかどうかが明確になります。 SMART Goal – Achievable(達成可能) 3番目の要素は、達成可能であることです。 例えば、今、5メートルしか泳げない人にとって「1か月以内に100メートル泳げるようになる」という目標を達成することは難しいでしょう。ハードルが高すぎると、目標を達成しようというモチベーションにはつながりにくくなるため、達成可能な目標を立てることが重要になります。 SMART Goal – Realistic(現実的) 4番目の要素は、目標が現実的かどうか、現状に即しているかどうかという点です。 これは、他の人の価値観ではなく、自分の価値観や目的に即しているかどうか、自分自身に問う必要があります。例えば、大学に進学せずに手に職をつけて働きたいと思っている子どもにとって、「〇〇大学に入る」という目標は、本人の価値観にも目的にもそぐわないものであり、現実的な目標ではないことになります。 SMART Goal – Timed(期限) 最後の要素は、期限を決めるということです。 […]

自尊心を育てる

自尊心を育てる

食べ物や飲み物をこぼしてしまったり、おねしょをしてしまったり・・・子どもは数々の失敗を繰り返しながらたくましく成長していきます。でも中には、失敗することが怖くて、新しいことにチャレンジすることが苦手なお子さんもいます。 今日は、Child Mind Instituteのサイトに掲載されていた記事『12 Tips for Raising Confident Kids(子どもの自尊心を育てる12のヒント)』から、そんなお子さんの自信や自尊心を育ててあげるヒントをご紹介したいと思います。 まずは、大人が見本を見せてあげましょう。しっかりと準備をして前向きに新しいことに取り組む姿を見せましょう。ポジティブな部分に注目することが大切です。 誰にだって失敗はあって、大切なことは、失敗したことをくよくよ考えるのではなく、そこから学ぶということを子どもが理解できるように促してあげましょう。 お子さんがすでにできることに全エネルギーを注ぐのではなく、新しいことに挑戦するように促してあげましょう。新しいことを習得することで、自分は「できる!」と感じ、どんなことにでも立ち向かえるという自信を持つことができます。 失敗してもよいのです。子どもは試行錯誤しながら学んでいきます。 最初の挫折で諦めないことが重要です。自信や自尊心とは、常に成功することではなく、立ち直る強さをもって努力し続けることなのです。 興味を探求することはアイデンティティを培い、自信を育てるのに重要です。 目標を設定し、その目標を達成することは、子どもの自信につながります。子どもの願いや夢が実行可能なものになるよう、スモールステップの到達目標リストを作るのを手伝ってあげましょう。 達成したことで子どもを褒めることは良いことですが、どんな結果であろうと、努力する/したということが素晴らしいということをお子さんに伝えてあげましょう。 勉強やスポーツも素晴らしいのですが、お手伝いをすることで家族に頼られていると子どもが感じることもとても重要です。 完璧でないのが人間であり、完璧でなくても大丈夫なのだということを早いうちからお子さんに伝えてあげましょう。 子どもにとってチャレンジすることは良いことですが、成功を手にする機会があることも大切です。安心し自信を持つことができるアクティビティに取り組むことで、さらなるチャレンジに挑戦することができるのです。 試合に勝っても負けても、成績が良くても悪くても、どんなことがあってもお子さんを愛し、お子さんのことをすごいと思っているということを伝えてあげてください。 いかがでしょうか。 目の前の壁に大きな不安や恐怖を感じているお子さんを励まし勇気づけてあげ、チャレンジを促すことは、容易なことではありません。 上記のヒントの1つ1つは当たり前のことのようですが、頭でわかっていても実践することは意外に難しいことかもしれません。 子どもの自信や自尊心を育てるのは、日々の積み重ねが大切です。 子どもにもスモールステップが必要ですが、大人にもスモールステップが必要です。まずは、ヒントの1つか2つを試してみてください。そして、できそうでれば、3つ4つ、そして12のヒントすべてを実行できるようになる頃には、自信がついて少しお兄さん/お姉さんっぽくなっているお子さんに気づかれることと思います。

「ダメ!」の代わりに・・・

気に入らないことがあると、大きな声を出す おもちゃを片付けない お友だちが遊んでいたおもちゃをとってしまう お友だちをたたいてしまう などの幼少期の困った行動。 「ダメ!」「やめなさい!」と何度言っても聞いてくれないわが子。 どうしたらよいのでしょうか・・・ というご相談、よくお聞きします。 「ダメ!」 「やめなさい!」 と叱ってしまう気持ち、よ~くわかります。 お父さんもお母さんも叱らずにすむのであれば叱りたくない。   でも実は、叱られているお子さんも、困っていたりするのです。   叱っているお父さんやお母さんだけでなく、お子さんもストレスを感じているなんて、悲しいですよね。 では、どうしたらよいのでしょうか。 「だめ!」「やめなさい!」の代わりに・・・ 「ダメ!」 「やめなさい!」 と叱られていることはわかっても、お子さんは、どうしたらよいのかがわからないことがあります。だから、「ダメ!」「やめなさい!」と言われて、たとえ、その場ではその行動をやめたとしても、また同じことをしてしまうのです。 ーであれば、「どうすればよいのか」を教えてあげればよいのです。   例えば、 「お友だちのおもちゃを取ってしまう」という行動に対し 「こらっ!」と叱るだけでは、また次の機会に他のお友だちのおもちゃをとってしまうかもしれません。   「お友だちのおもちゃが欲しいときは『貸して』って言おうね」 「『一緒に遊ぼう』って言ってみようね」 など、より適切な行動を、お子さんがわかる表現で伝えてあげる方が効果的です。 そして、その指示どおり「貸して」「一緒に遊ぼ」と言えた時は、しっかりほめてあげましょう。 お子さんも、叱られるより褒められる方が、ずっと嬉しいのです。 お父さん・お母さんにもっとかまってほしいお子さんの場合、お父さん・お母さんの注意を惹くために、わざと困った行動をしてしまう場合もあります。 その場合、「ダメ!」「やめなさい!」といった否定的な声かけは逆効果で、困った行動が続いたり悪化してしまいます。 お子さんの良いところを見つけて、できるだけたくさん褒めてあげることが、そうした困った行動を減らしていくことにもつながります。 「ダメ!」「やめなさい!」をやめる      ↓ より適切な行動を教えてあげる      ↓ しっかりと褒めてあげる   お父さん、お母さん、そしてお子さんの笑顔のため、少し遠回りのようですが、がんばっていきましょう。

バリアゲーム

アメリカで言語病理学の大学院生だった頃に出会ったのが「バリアゲーム」 ことばの発達はもちろん、構音やソーシャルスキルの練習など、言語聴覚療法で大活躍の「バリアゲーム」をご紹介します。 バリアゲームとは 1. 場面設定 バリアゲームとは、2人以上で遊ぶゲームで、それぞれのプレイヤーの間に「バリア」となるついたてを置き、他のプレイヤーの手元が見えないように設定します。 すべてのプレイヤーには同じ教材を用意します。 2. 役割 「指示を出す順番」「指示を聞く順番」を決めたらゲーム開始です。 バリアゲームを使ったアクティビティ例 1.位置を表す表現 「犬は木の箱の上に立っています」 「牛を納屋の中に入っています」 「猫がりんごの木の下で寝ています」 など、位置を表す表現を使って言語指示を出したり、指示を聞いて理解する練習をします。 2.語彙 バリアゲームに使用する背景画や絵のピースを個別療育目標に沿って選択することで、お子さんに獲得してほしい語彙の学習をすすめることができます。また、「大きい牛」「小さい羊」などの形容詞や「赤いりんご」「黄色い鳥」などの色名を学習するのにもバリアゲームは適しています。 3.吃音や構音 吃音の「スムーズに話す練習」や構音の「カ行の音を正しく発音する練習」にも効果的です。 練習のことばを繰り返し言うだけのドリルは、子どもたちにとってはとっても退屈。 バリアゲームなどのゲームを使って楽しく練習していくことで、練習が単調ではなくなり、積極的に練習に取り組めるようになります。 4.ソーシャルスキル 指示を出す時は、相手を見る 質問をしたり、質問に答えたりする 指示が分かりにくかった場合は、「もう一度言ってもらう」「わかりやすいように説明してもらう」ようにお願いする 等、ソーシャルスキルの練習目標もこの「バリアゲーム」を通して練習することができます。 バリアゲーム用の教材以外にも、積み木や塗り絵などを使うこともできます。 背景となる絵とその背景画に配置する絵のピースを用意すれば、バリアゲームを手作りすることもできます。 ぜひお試しください。

ことばの発達とお絵かき

子どもが発達する中で、子どもが描く絵も発達していきます。 一見、言語発達とは異なる分野の発達に思える描画スキルですが、実は、言語発達と深い関係があるのです。 今日は、ことばの発達のためにお絵かきが果たす役割について、まとめてみたいと思います。 1.色の認識 クレヨンや色鉛筆、ペンを使ってお絵かきすることで、「様々な色があること」「色と色を組み合わせたら違う色になること」などを体験することができます。そして、そうした体験を通して、色への興味や認識が高まっていき、そこから色名の理解へつながっていきます。 2.想像力&創造力 お絵かきとは、描きたいモノを想像(=イマジネーション)しながら、描画でそれを創造(=クリエイティビティ)してく作業です。 こんな風に線をひいたらどうなるかな? この色の上にこの色を塗ったら、どうなるかな? など、想像力を働かせながら、自分の表現したい絵を創り出していく力は、新しいことを考えて、それを表現する力につながっていきます。 3.自己表現 ことばを使って自分の考えや思いを表現することが得意なお子さんもいますが、描画などの視覚手段を使って自己表現するのが得意なお子さんもいます。得意な回路を使って表現する力を高めてあげることは、心の安定や自信にもつながっていきます。 4.順序の理解や計画性 イメージを絵にあらわしていくためには、描く順序を考え計画していく手順が必要になります。順序の理解や計画する力は、園や学校であった出来事を報告したり、聞いたお話を相手にわかるようにお話する力にもつながっていきます。 5.言語表現 お子さんが描いている途中、あるいは完成した絵について一緒にお話することを通して、非言語的な部分を言語化することになります。その中で、新しい語彙や表現方法を学ぶことができます。 また、色を選んだり描く線や形を考える過程では、どうしてその色・線・形がいいと思うのかといった考えを表現することができますし、描いた後、どう思うか聞いてみることで、気持ちを表現する力を促すこともできます。イメージしたものと描いたものが違った場合は、「思ったのと違うから悲しい/悔しい」といったネガティブな気持ちを表現することで、気持ちを落ち着かせる練習をすることもできます。 絵カードやドリル学習だけが、ことばの発達を促す教材ではありません。 むしろ、生活経験の中からことばを学んでいくことこそ、「生きたことば」「使えることば」の力を育むことにつながるのです。

Themed Activities~ひなまつり編

明日はひなまつり! 女の子のいるご家庭では、雛人形を飾ったり、お祝いの準備をしている頃かもしれません。 今日は、ひなまつりをテーマにしたアクティビティのいくつかをご紹介したいと思います。 反対ことば カードの裏面には男雛と女雛を印刷、表面には反対ことばを印刷したカードを使って、神経衰弱などのカード遊びをしながら反対ことばの練習をします。 正しい反対ことばの対が見つかると男雛と女雛の対になるようになっています。 カテゴリー&比較 「ひなまつり」と「こどもの日」について、ワークシートに書かれたそれぞれのカテゴリーを見て、当てはまる言葉を記入していきます。 すべて記入できたら、単語を切り離して、ベンダイアグラムに貼り付けていきます。   そして、2つの円の中の情報を見比べながら、共通点をみつけ、中央部に書き込みます。 「ひなまつりと子どもの日を比較しなさい」という問題を言われても、なかなか答えることができないお子さんが、ベンダイアグラムを作成しながら、2つの祝日の相違点を見つけることができます。そして、その表をみながら発表もできるようになります。 このステップは、小学校の高学年や中学生になっても使えるスキルで、エッセイや感想文などの文章を書いたり、研究発表をするときにも使えます。 できないことは、できるようになる方法とサポートがあればできるようになるのです! みなさま、どうぞ素敵なひなまつりをお過ごしください。

3月になりました!

3月になりました。 1月は新しい年が明け、お正月や新学期の始まりなどで忙しく、あっという間に過ぎ去っていきー 2月は28日しかなく、たった2-3日の違いが大きく、学校も仕事もスケジュールが詰まりがちー そしていよいよ3月。 3月は年度末で、1年間の学習や習い事、仕事をまとめたり、来年度に向けての準備をしたりで、バタバタする時期です。 なんだかちょっと息切れしそうな勢いですが・・・   そんな忙しい3か月のことを、それぞれの数字の最初の音を取って    1月は「行く」  2月は「逃げる」  3月は「去る」   と言うようになったそうです。 3月と言えば・・・ 3月といえば・・・ ひな祭り 春のお彼岸 卒園式・卒業式 終業式 春休み お花見 などなど、行事が盛りだくさん。 それぞれの行事には、それに関連する食べ物や花、歌などがあって、子どもたちが語彙や知識を増やしてあげる機会がたくさんある季節でもあります。 少し前にThemed Activitiesについて、テーマに沿ったアクティビティを取り入れることのメリットについてお話しました。忙しい時期ではありますが、楽しいThemed Activitiesを積極的に取り入れて、子どもたちのことばの発達を促してあげましょう。