2言語で投稿する理由 / Why Do I Post in Both English & Japanese?

Why Do I Post in Both English & Japanese?

日英バイリンガルの言語聴覚士として、私は言語発達がさまざまな言語や文化的背景を持つご家庭にとって大きな課題となることを実感してきました。だからこそ、英語と日本語の両方で正しく役立つ情報を発信することを大切にしています。その理由をご紹介します。 As a bilingual Speech-Language Pathologist, I’ve learned that language development can be a challenge for families in different linguistic and cultural settings. That’s why I make it a priority to share helpful, accurate information in both English and Japanese. Here’s why: ✨ 情報にアクセスできるようにするため / Making Information Accessible 子どもが一言語話者でも多言語話者でも、言語発達について正しい情報を知ってもらいたいと思っています。二言語で投稿することで、多様なご家族に情報を届け、必要な知識とツールを提供したいと思っています。 I want as many families as […]

言語発達につまずきのあるバイリンガル児の2言語環境を維持することが推奨されるケースとその理由/When and Why Maintaining Bilingual Environment is Recommended for Children with Language Disorders

言語発達につまずきがあるバイリンガル児の2言語環境を維持することが推奨されるケースとその理由についてお話したいと思います。I would like to talk about when and why maintaining bilingual environment is recommended for children with language disorders. 家庭で話している言語とコミュニティで話されている言語が異なる場合、お子さんの発達上、2言語を維持することが大切です。なぜでしょう?Maintaining the two languages is necessary when thier family language is different from the community language. Why? 家庭で話されている言語を学ぶことは、家族とのコミュニケーション手段を確保し、家族の文化や考え方を学び、自我を確立していく上で不可欠です。Family Language: The family’s language is crucial for maintaining the way to communicate with family members, learning the family’s […]

バイリンガル児の構音セラピー/Articulation Therapy for Bilingual Children

今日は、バイリンガル児の構音セラピーのすすめ方についてお話したいと思います。Today, I would like to talk about the steps to treat speech sound errors in bilingual children.  両言語に共通する誤りのパターンから開始/Start with the phonological deviations common to both languages 例えば、口蓋化構音(タ行がカ行に近い音になるパターン)があるお子さんの場合、英語では”duck”が”guck”に近い音で発音され、日本語では「たいこ」が「かいこ」に近い音で発音されます。このように、両言語に共通して見られる誤りのパターンから構音練習を開始することで、一方の言語で獲得された正しい構音方法がもう一方の言語に般化されることがあります。For example, a child who has an error pattern of backing, he/she will say “guck” for “duck” in English and “Kaiko” for “Taiko” in Japanese.Start with the error patterns […]

評価およびセラピーに関する文化的な認識の違い/Cultural Differences in Parental Attitudes toward Their Children Receiving Evaluation & Therapy Services

今日は、評価およびセラピーに関する文化的な認識の違いについてお話したいと思います。Today, I would like to talk about cultural differences in parental attitudes toward their children receiving evaluation and therapy services.  西洋文化あるいは多文化環境の親御さんに比べ、日本の親御さんはお子さんお発達評価やセラピーを受けることに関して消極的だという印象があります。 I have observed that parents from Japanese cultural backgrounds tend to be less proactive in seeking evaluation and therapy services for their children compared to parents from Western or multicultural backgrounds. 文化の違い、スピーチセラピーの知名度等、さまざまな要因があると思います。 There may […]

バイリンガルと場面緘黙&沈黙期/Being Bilingual, Selective Mutism & Silent Period

Being bilingual, selective mutism and silent period

バイリンガル環境は場面緘黙の原因になる?/Does Being Bilingual Cause Selective Mutism? いいえ。バイリンガル環境が場面緘黙の原因になることはありません。ただ、恥ずかしがり屋のお子さんの場合、第2言語を話すことに苦手意識を持ち、それにより、場面緘黙発症の危険性が高まる可能性があります。 No. Being bilingual does not cause selective mutism. However, children who tend to be shy may feel it uncomfortable to use a second language, which can put them at risk. どう違う?/How Different? 場面緘黙とは、特定の場面だけ話せなくなってしまう不安症状であるのに対し、沈黙期は、第2言語を学び始めてまもない子どもが、「話す」ことよりも「聴く」ことに集中している時期のことを言います。 Selective mutism is a childhood anxiety disorder characterized by a child’s inability to speak in […]

バイリンガル児の言語発達 ジム・カミンズ博士の “The Iceberg Model of Language Interdependence” から

バイリンガル児の言語発達に関して、広く指示されているジム・カミンズ博士の理論 “The Iceberg Model of Language Interdependence”(言語相互依存の氷山説)についてご紹介したいと思います。 Cummins, 1980 かつて、第1言語と第2言語は脳の中で別々に発達していくと考えられていました。 しかし、ジム・カミンズ博士の理論によると、脳の中で2つの言語能力の共通の基盤が育てられ、そこから、各言語に特有の語彙や文法、発音といった表層的な部分が育っていくといいます。 右の図にあるように、2つの氷山は、水面上ではそれぞれ独立した存在に見えますが、水面下では相互に融合しています。 同様に、2つの言語は語彙や文法、文字や発音など表面的な部分にそれぞれ独自の特徴があるため、独立して存在しているように見えますが、実は2言語は思考や認知など深い部分において共通しています。それが、Common Underlying Proficiency(共通基底能力)です。 バイリンガル児の場合、1つの言語で獲得された基礎となるスキルは、もう1つの言語にも応用されます。 これは、バイリンガル児のスピーチセラピーの中で私自身よく経験することで、例えば、日英のバイリンガル児のスピーチセラピーを日本語で行っている場合、セラピーで獲得した概念が、英語を話す場面でも理解表現できるようになっていたーということがよくあります。これはまさに、この図にある水面下のスキルが、2つの言語で共有されていること示しています。 だからこそ、スピーチセラピーでは、親御さんや関係機関と連携し、この水面下の基盤となる各言語で共有するスキルをしっかりと育ててあげることが大切だと考えています。 詳細はぜひ動画をご覧くださいね! Cummins, 1980

言葉につまずきのあるお子さんの外国語学習

言葉につまずきのあるお子さんの外国語学習

2020年の学習指導要領の改訂に伴い、小学3・4年生から外国語活動が導入され、5・6年生に関しては、英語が「教科」として教えられるようになりました。 この流れの中で、言語発達に心配のあるお子さんの英語学習に関して、以下のような質問をお受けする機会が増えてきました。その質問とはー 『言語発達に遅れがあるのですが、外国語を学ぶことは避けるべきでしょうか?』 『国語の学習につまずきがあるのですが、英語を学ぶことで、さらに混乱するのではないでしょうか?』 そこで今日は、長年、バイリンガル児の言語発達に携わってきた立場としての見解をお伝えしたいと思います。   I’ve been receiving an increasing number of questions about English learning for children with language development concerns, such as:“My child has a language development delay. Would it be a bad idea for him to learn a second language?”“My child struggles academically. Will learning a second language make the situation […]

Whoonu!

アメリカで臨床をしているときのお気に入りのゲーム「Whoonu」をご紹介します。 【遊び方】 「Whoozit」となるプレーヤーを決めます。 残りのプレーヤーは、カードの山から上から4枚ずつカードをとり、手持ちのカードの中から「Whoozit」が好きだと思うカードを1枚(プレーヤーの数が少ない場合は2枚)選び、「Whoonu封筒」に入れます。 「Whoozit」は封筒からカードを取り出し、一番好きではないものから一番好きなものをランク付けし、一番好きではないものには、トークン1を、その次にトークン2を、そして一番好きなものにはトークン6を置きます。 残りのプレーヤーは、自分で選んだカードに応じて、トークンを受け取ります。 「Whoozit」は時計回り(あるいは反時計回り)に交代します。 最後にトークンの合計得点を計算し、得点が一番高い人が「勝ち」となります。 グループ個別療育を行う場合には、仲良くなるきっかけ作りも含めてこのゲームを使用することもありましたが、何より活躍してくれたのが、ソーシャルスキルのグループ個別療育でした。 「順番の理解」「勝敗の理解」「負けを受け止めること」を練習することに加えて、「相手の好きなものを想像する」というゲームの趣旨から「相手の立場に立って考える」練習にもってこいのゲームなのです。 昨夜、なんとなく、わが子たちと一緒にWhoonuをしてみて、その魅力を再確認。 小学生も娘も中学生の息子も、そして大人の私もみんなが楽しめるゲームなのです。 ゲームをした後、ふと、言語聴覚療法でも使いたいな!と思い、その勢いで日本語カードを作っちゃいました! ソーシャルスキル以外にも、言語表現を拡げる練習や、なぞなぞ等のアクティビティを通して、聴理解や質問応答の練習をすることもできます。 小学3年生から始まる英語教育の場面でも使えそうですね! 幅広い目的で活躍できるWhoonu、ぜひお試しください♪

バイリンガル児の言語・コミュニケーション評価

バイリンガル児の言語評価

ここ最近、日本および海外のバイリンガル環境で子育てをしている方々から、お子さんの言語・コミュニケーションに関する相談を受けることが増えています。 すでに他機関が検査をした方、学校での検査をすすめられた方など様々ですが、共通している問題があります。 それは 評価や支援にバイリンガル環境で育っていることが十分に考慮されていない ということです。 そのことが、お子さんの学習のつまずきやご家族の不安・心配の原因となっているケースが多々あります。 あらためて、2つ以上の言語に触れて育っている子どもの言語発達に関して、各言語の発達に影響を及ぼす要因を見ていきながら、バイリンガル児の言語・コミュニケーションを評価する際に留意しなければならない点についてまとめてみたいと思います。 言語発達に及ぼす要因について バイリンガル児の言語力に関しては、様々な要因がその達成度に影響を与えます。いくつかの例をあげてみたいと思います。 環境的要因 各言語を使う場面(家・学校・地域など)と頻度 各言語を使う文脈(友人との会話・近所の人との会話・学習場面で見聞きする言語など) 本やおもちゃなどのリソースへのアクセスの有無、その質や量 周囲の各言語に対する理解や態度   個人の要因 言語力や認知力 お子さんの性格や興味 各言語環境下での経験   2つの言語を学び始める時期 バイリンガルとは、2つの言語を使って「話す」「聞く」「読む」「書く」ことができる人を意味し、一般的に、2つの言語を学び始めた時期によって「同時バイリンガル」「継起バイリンガル」(けいきバイリンガル)に分類されます。 同時バイリンガル:誕生時あるいは3歳未満から2つの言語に触れて育った場合 継起バイリンガル:1つの言語を習得した後に第2言語としてもう一方の言語を習得し始めた場合   言語間干渉 誕生時あるいは3歳未満から2つの言語に触れて育っている同時バイリンガルの場合でも、環境の変化等の要因によって、より得意な言語(優位言語)が変わることがあります。また、使用頻度が少なくなった言語の語学力が低下する場合もあります。 特に継起バイリンガル児の場合、母語の影響により、構音や文法、語彙の理解や使用に誤りが生じる場合があります。例えば、第2言語として英語を学んだバイリンガル児の場合、日本語にない音であるRやL、THの発音に誤りが見られたり、時制や複数形等の文法の使用に誤りが見られるなどがこれに含まれます。 さらに、2つの言語を使い分けられるようになる前の段階では2つの言語を混ぜて話すコードミクシングやコードスイッチングと呼ばれる症状が出る場合があります。   言語習得までに必要な時間 継起バイリンガル児の場合、要求される言語力の違いによって習得期間に違いがあることも認識しておく必要があります。 Basic Interpersonal Communication Skills(BICS):日常会話をするのに必要な言語力。通常、約2年で習得。 Cognitive Academic Language Proficiency(CALP):学習をすすめていくのに必要な言語力。習得には通常、5年~7年が必要。 すなわち、第2言語を習得し始めてからの期間によっては、流暢に第2言語で日常会話ができるようになっているとしても、学習場面では理解できなかったりうまく表現できないことがあるのです。その場合、言語障害や学習障害を疑う前に、その言語に触れ始めてからの期間を考慮に入れ、必要な学習サポートを提供することが大切です。   評価方法について 情報収集 ご家族や関係機関からの情報収集により、現在の言語・コミュニケーションの発達に関する要因を分析します。 その際、Response to Intervention (RTI) と呼ばれる方法により、段階的な指導や支援を行いながら、その指導や支援に対する反応を測定することにより、どのような支援が必要なのかを把握するシステムです。例えば、ELL等、第2言語を学ぶ場やクラスでの教科学習で取り入れられています。日本の学校現場でどの程度このRTIモデルが採用されているのかわかりませんが、評価にあたってはこのRTIの情報が重要な役割を果たすことに留意して情報収集をする必要があります。 言語の選択 言語発達につまずきあるいは障害がある場合、そのつまずきや障害は子どもが触れているすべての言語に現れます。 すなわち、日本語・英語のバイリンガル児の場合、日本語あるいは英語にのみ遅れが認められても、もう一方の言語が正常に発達している場合、そのお子さんの言語発達につまずきあるいは障害があるとはいえません。ですから、お子さんの言語・コミュニケーションの発達のつまずきの有無を評価するためには、そのお子さんが触れているすべての言語での力を知る必要があるのです。 評価に使用するツール スピーチサンプル […]