豊かな言語環境/Creating a Language-Rich Environment

今日は、ことばの発達上大切な「豊かな言語環境」についてお話したいと思います。I would like to talk about how “a language-rich environment” looks like.  ①セルフトーク&パラレルトーク: スポーツ実況のように、日常生活の中で、ご自身がしていることや考えていること(セルフトーク)、そして、お子さんがしていることや考えていること(パラレルトーク)を実況中継してお子さんに聞かせてあげましょう。 例#1:朝食の準備をしながら「まず、卵を割って、フライパンで焼いて。あ、パンがこんがり焼けてきたよ」というように、ふだんは無言でテキパキをこなしている動作を実況中継してみましょう。 例#2:お子さんの着替えを手伝ってあげながら「ズボンを履いて。シャツはどれがいいかな?あ、赤いシャツがいいね。シャツにおててをとおして」とお子さんの動作を言葉で表現しながら手伝ってあげましょう。 お子さんはママ・パパや自分の動きと言葉を結びつけて理解できるようになります。   ①Self-Talk & Parallel Talk Verbally describe your daily activities (Self-Talk) & your child’s actions and thoughts (Parallel Talk) like a sports commentator. Example #1: While preparing breakfast, say things like “I’m cracking the eggs now. Look how they […]

言語発達の2つのタイプ/2 Way of Language Learning

言語発達に2タイプあるということをご存知でしょうか。 Did you know that there are two ways children learn language? 分析的言語獲得/Analytic Language Acquisition まず単語を獲得し(例「ワンワン」)、徐々に単語をつなぎ合わせてフレーズや文を使い始めるタイプ(例「おおきいワンワン」「おおきいワンワンがいるね」)。Children learn single words as units first (ex: “milk”) and start combining them into phrases and sentences (ex: “more milk” “I want more milk, please”). 全体的言語獲得/Gestalt Language Acquisition 単語を表出し始める前に、前に聞いたことのあるフレーズや文を使い始めるタイプ(遅延性エコラリア)。Children start using phrases or sentences that they previously heard (delayed echolalia) […]

推測力とプラグマティック言語が読解力に及ぼす影響/How Inferential Skills & Pragmatic Language Skills Affect Students’ Reading Comprehension

今日は、推測力とプラグマティック言語が読解力に及ぼす影響についてお話したいと思います。Today, I would like to talk about how inferential skills & pragmatic language skills affect students’ reading comprehension. 推測力/Inferential Skills 推測力とは、文章中の暗黙的・間接的な情報をもとに知識や経験に基づいて推測し、結論を導き、予測する力で、文字通りの意味だけでなく、点と点を結び、情報の隙間を埋め、文章について論理的に考えるのに必要な力です。 【読解力への影響】 結論を導く力 予測する力 原因と結果を理解する力登場人物の特徴、感情、意図を理解する力   Inferential skills involve the ability to make educated guesses, draw conclusions, and make predictions based on implicit or indirect information in the text. These skills go beyond the literal […]

Yes/Noの質問に答えるために必要なスキル/Skills Required to Answer Yes/No Questions

「はい」「いいえ」で答える質問に答えられるようになるためには、様々な領域の発達が必要だとご存知でしたか?Did you know that answering Yes/No questions requires various aspects of language development? 言語理解/Language Comprehension 「はい」「いいえ」の質問に答えるためには、質問をしっかりと聴き、その意味を理解する必要があります。Responding to Yes/No questions requires children to actively listen to the question and understand the meaning. 語彙力/Vocabulary 「はい」「いいえ」の質問に答えるためには、その質問に含まれる単語や概念を理解する力が必要になります。When children answer Yes/No questions, they encounter various words and concepts used in the questions. ソーシャルコミュニケーション/Social Communication 日常会話で「はい」「いいえ」の質問はよく出てきます。聞かれた質問に応答できるようになることでやりとりが成立するようになり、お子さんのコミュニケーション力が高まります。Yes/No questions are commonly used in […]

バイリンガルと場面緘黙&沈黙期/Being Bilingual, Selective Mutism & Silent Period

Being bilingual, selective mutism and silent period

バイリンガル環境は場面緘黙の原因になる?/Does Being Bilingual Cause Selective Mutism? いいえ。バイリンガル環境が場面緘黙の原因になることはありません。ただ、恥ずかしがり屋のお子さんの場合、第2言語を話すことに苦手意識を持ち、それにより、場面緘黙発症の危険性が高まる可能性があります。 No. Being bilingual does not cause selective mutism. However, children who tend to be shy may feel it uncomfortable to use a second language, which can put them at risk. どう違う?/How Different? 場面緘黙とは、特定の場面だけ話せなくなってしまう不安症状であるのに対し、沈黙期は、第2言語を学び始めてまもない子どもが、「話す」ことよりも「聴く」ことに集中している時期のことを言います。 Selective mutism is a childhood anxiety disorder characterized by a child’s inability to speak in […]

沈黙期/Silent Period 

Silent Period

今日は、「沈黙期」についてお話したいと思います。 Let’s talk about “silent period” in today.  沈黙期とは、第2言語を学び始めてまもない子どもが「話す」ことよりも「聴く」ことに集中している時期のことを言います。The silent period occurs when a child is in the beginning stage of acquiring a second language and is focusing on listening. The child starts understanding what is being said, but they may not be ready to verbalize their thoughts in the language. 沈黙期の持続期間/Duration of the Silent […]

ねこじゃらしー生きた語彙

ねこじゃらし

秋も深まり、エノコログサ(通称:ねこじゃらし)が黄金色に輝いています。 そんなねこじゃらしを目にして、ふと、在米中、日本人のお子さんのスピーチセラピーで「ノンタンこちょこちょこちょ」を読んでいたときのことを思い出しました。   ”いたずら ねこじゃらしが、 こちょこちょこちょ。 おでこを こちょ こちょ、 ほっぺを こちょ こちょ。”   そのとき、お子さんが言いました。 「ねこじゃらしってなぁに?」 ハッとしました。 そうなのです、私が住んでいた地域では、ねこじゃらしを目にすることはなかったのです。 「ねこじゃらし」を触ったことはもちろん、見たこともなかったお子さんには「ねこじゃらし」の意味がわからず、その単語がわからないために、ストーリーを楽しむこともできなかったのです。 語彙力をつけていくためには、量よりも質が大事だと言われています。 単語カードに単語と意味を書いて覚えるだけでは、その単語を使いこなせるようにはなりません。 その語彙を見て聞いて経験してこそ、生きた語彙が拡がっていきます。 話を『ねこじゃらし』に戻します。 例えば、そのお子さんが一時帰国の際に、道端にはえているねこじゃらしを見て、ねこじゃらしを引っこ抜いて、お姉ちゃんとこちょこちょして遊んだとします。 そこから「ねこじゃらし」という語彙だけでなく、 – ねこじゃらしの穂が垂れ下がっている様子– 黄金色に輝く様子– 引っこ抜く時の感触– お姉ちゃんとこちょこちょして遊んだ記憶 などがすべてセットになって、「ねこじゃらし」「穂」「垂れ下がる」「黄金色」「引っこ抜く」「くすぐったい」など、多くの語彙を学ぶことができるのです。 これこそ、生きた語彙学習だと思います。   暑くも寒くもない今の季節。お散歩が楽しい季節です。 ぜひ、お子さんに様々な経験をさせてあげてください。 そして、その経験を言葉にして伝えてあげてくださいね!

「形の似ているひらがな」ワークブック

形の似ているひらがな

ひらがな練習ワーク 濁音&半濁音・拗音・促音・長音編を作成&出版したのが、1年半ほど前… 今回、「ね」と「れ」、「さ」と「き」、「つ」と「う」など、読み間違い&書き間違いの多い平仮名にターゲットを絞った教材を作成しました。 全部で、「選択(単音)」「選択(単語)」「書き取り練習」の3部構成になっていて、それぞれの課題の最初に使い方だけでなく、課題の目的を表記しています。 例えば、「選択(単音)」では、 形の似ている文字の違いを認識できるようになる。 音と文字をマッチングできるようになる。 という2つの目的を達成できる内容になっています。 ーということで、各課題の例をご紹介します! 単音 単語(たんご) 書き取り 「形のにているひらがな」ワークブックは、Suzuki Speech Roomの TpTストアで購入できます。 教材や購入方法に関するご質問がございましたら、どうぞお気軽にお問合せください♪

今週の絵本 第26弾「ここにいたいあっちへいきたい―にひきののみのはなし」

「ここにいたいあっちへいきたい―にひきののみのはなし」著:レオ・レオニ翻訳:谷川俊太郎出版: 好学社 今週の絵本第26弾「ここにいたいあっちへいきたい―にひきののみのはなし」をご紹介します。 予備知識として・・・ このお話を理解するためには、まず、最後まで姿を現さない主人公が「ノミ」であることを理解することがキーとなります。 そのためにも、まず「ノミ」についての理解を確認します。 お話の設定  そして、お話の理解 おはなししているのはだれ? ノミは、どこにいった? などの質問に答えながら、主人公と場面の入れ替わりを理解します。 他者の考えと自分の考えの理解 と想像する力 2匹のノミの考え方や行動の違いから、人はそれぞれ考え方や気持ちが異なるということを理解します。 その上で、「もしも〇〇君/ちゃんだったら・・・」という仮定のことを想像して考える練習をします。   新型コロナウィルス対策で、外出や行動の制限があることで、お子さんも親御さんもストレスが多いことだと思います。在宅の時間が長らくなると、ついついテレビやゲームの時間も長くなりがち・・・ 気分転換に、絵本や工作、お料理などなど、親子の楽しい時間を増やすことで、ストレス軽減&言語発達を促すアクティビティができたらいいですね!