せいようフェスティバル

せいようフェスティバル

先日行われた、MEDINT・CHARM主催シンポジウムを聴きに来てくださっていた青陽東養護学校の言語聴覚士 石田先生からご招待いただき、去る2月8日、青陽東養護学校の文化祭「せいようフェスティバル」に行ってきました。 青陽東養護学校は、JR灘駅から徒歩5分のところにあり、小学部・中学部・高等部あわせて、約200人の児童生徒の皆さんが通われています。 校門に近づくと、児童生徒や教職員の方々、保護者、来賓の方々の楽しそうな声が聞こえてきました。 石田先生に校内を案内していただきながら、児童生徒の皆さんの作品の展示や作業学習で作った野菜や商品の販売、体育館で行われていたステージを満喫しました。 アメリカでは、IDEA (The Individuals with Disabilities Education Act) のもと、すべての公立校に、スピーチパソロジストをはじめ様々なスペシャリストが配属され、個々のお子さんに必要な支援が無料で提供されています。 日本に帰国以来、日本の文化やシステムに合う形で、スペシャリストと先生方がチームとなって、子どもたちが多くの時間を過ごす学校で、個々の子どものニーズに合った支援が行われていくようになればいいのにーと感じ、そのためにも、学校現場の様子を学びたいと考えていました。 そして今回、養護学校で勤務されている石田先生との出会いがあり、学校を訪問させていただくことができました。 児童生徒の皆さんのイキイキした様子を拝見することができたことはもちろんですが、児童生徒一人ひとりのことを理解し、その子どもたちのために、先生方との連携と絆、そして地域の人々との関係を築いていかれている石田先生の行動力と努力に感動しながら、学校をあとにしました。 さいごに・・・ せいようフェスティバルで購入した作品をご紹介します。自宅&オフィスで愛用させていただきます! 動物のお皿 カプラ・クリップ・ヘアピン ストラップとしおり

ゲストティーチャー&シンポジスト

シンポジウム質疑応答

12月に地域の小学校の「キャリア教育」の「ゲストティーチャー」として、1月に医療通訳研究会(MEDINT)・CHARM母子保健登録通訳者フォローアップ研修のシンポジストとして、お話する機会がありました。今日は、その報告をしたいと思います。 ゲストティーチャー 12月17日、地域の小学校にゲストティーチャーとしてご招待いただき、6年生の児童の皆さんに言語聴覚士についてお話しました。 自己紹介のあと 「言語聴覚士という仕事を知っている人?あるいは、聞いたことがある人?」と聞いてみました。 挙手は… 0(ゼロ)! そこから、 言語聴覚士の仕事内容や勤務する場所、関連業種などをご紹介し、言語聴覚士になる方法についてお話しました。 今回は、「言語聴覚士」という仕事に興味を持ってもらう事はもちろんなのですが、子どもたちが言葉やコミュニケーションに不自由のある方々への理解を深めるきっかけになったらーという願いもありました。 ですから、私自身が言語聴覚士として心がけていることや「言語聴覚士になってよかった!」と思った経験についてもお話し、体験を通して、言葉やコミュニケーションに不自由のある方々をサポートするコツも感じてもらう時間をもちました。 それから約1週間後、児童の皆さんの感想や感謝の気持ちがぎっしり詰まった、素敵なプレゼントをいただきました。その一部をご紹介したいと思います。 ぼくは、鈴木さんの話を聞くまで言語聴覚士という仕事を知らなかったけど、話を聞くうちに楽しそうな仕事だなぁと思いました。人々のために働く仕事もいいなぁと思いました。 私は言語聴覚士という仕事を知りませんでした。ですが、今回お話を聞いて、人のためになる職業なんだなぁと感じました。私も大きくなったら、人のためになる職業につきたいと思いました。お話をしてくださり、ありがとうございました。 色々なお話をしていただきありがとうございました。言語聴覚士という仕事は聞いたことがなかったけれど、今回お話していただいて、知れてよかったです。これからは、周りの方の気持ちも理解して接していきたいと思いました。 言語聴覚士のお仕事は、初めて聞いて、なにかよくわかりませんでした。でも、わかりやすいお話をきいて、人の役に立つことはとても良いことだと思いました。私は、このお話を聞いて、人の役に立つ仕事につきたいです。 児童の皆さん一人ひとりからのお手紙を読み、 「言語聴覚士という仕事を知ってもらいたい」 「言語やコミュニケーションに不自由がある方々への理解を深めるきっかけにしてもらいたい」 という目標を達成できた!と実感することができ、ゲストティーチャーをお引き受けしてよかった!と思いました。 MEDINT・CHARM主催シンポジウム そして1月12日、医療通訳研究会(MEDINT)・CHARM母子保健登録通訳者フォローアップ研修のシンポジストとしてご招待いただきました。 「就学前の子供たちの言語発達を考える~言語聴覚士の立場から」というテーマで、私からは、バイリンガル児の言語発達支援(マジョリティ言語を母語としない親をもつ子どもの言語発達支援)についてお話いたしました。 バイリンガル児の言語発達に関する基本情報から始まり、バイリンガル児の言語評価と過剰診断/過小診断といった誤診について、母語育児が推奨されるべき理由、そして通訳者との連携について話を進めていきました。 もう一人のシンポジストである、手話通訳士兼言語聴覚士の上田月美さんや、当事者の桃山学院教育大学教育学部教育学科講師オチャンテ 村井 ロサ メルセデスさんからもお話を伺い、3人の話のあと、シンポジストが参加者からいただいたご質問に答える時間もありました。 このシンポジウムには、通訳者の方々だけでなく、言語聴覚士や教育関係者など、多くの方々が参加してくださり、とても有意義で学びの多い時間となりました。 12月・1月と、通常の臨床とは異なる経験をさせていただきました。 ゲストティーチャーとして児童の皆さんや先生方との心の触れ合いがあり、シンポジストとして、関連業種の方々との輪の広がりがあり、とても貴重な体験をさせていただきました。 この経験を、これからの仕事に生かせていきたいと思います。

チームワーク

チームワーク

いつも、Suzuki Speech Roomのブログをご覧いただき、ありがとうございます。 今日は、Child Mind Instituteのサイトに掲載されていた記事『How to Work Well With Your Child’s Therapist(子どものセラピストとうまく付き合っていく方法)』から、お子さんの療育を効果的にすすめていくのに必要なチームワークについて、お話したいと思います。 ここでいう「チームワーク」とは、担当セラピストと保護者が、お子さんの成長という共通の目標に向かって努力していくことを意味します。 私は、セラピストと保護者は対等の立場で、共に、大切なお子さんの成長をサポートしていく必要不可欠なチームメンバーであると考えています。 ですから、保護者がチームメンバーであるセラピストと良好なチームワークを築いていくことがとても重要です。 では、チームワークを築いていくための秘訣についてご紹介します。 例えば、臨床心理士は全体発達を見る専門家で、言語聴覚士は言語発達の専門家、理学療法士は身体発達の専門家で、作業療法士は微細運動や感覚の専門家です。しかし、お子さんを一番よく知っているのは保護者であり、「お子さん」の専門家は保護者なのです。セラピストは、お子さんの専門家である保護者の方が、お子さんをどのように見て、どのように感じ、どのように考えているのかを理解することで、より良いセラピーを実施することができるのです。  セラピーは通常、週に1回から2週に1回の頻度で行われます。ですから、セッションとセッションの間に起きたこと、疑問点や心配点があれば、セラピストに知らせてください。ただ、セラピストとの面談の時間は限られているかもしれません。効果的に伝えられるよう、セラピストに伝えたいことをあらかじめ考えて整理しておくことをおすすめします。 困っていること、悩んでいることがあったら、セラピストに相談しましょう。セラピストは即座に解決法を提示できる場合とできない場合があるかもしれませんが、保護者とセラピストが一緒に考えていくことで、解決に向けた一歩を踏み出せるかもしれません。 セラピー場面、園/学校、家庭など、場面によってお子さんの様子が異なることがあります。セラピストはセラピー場面のお子さんしか見ることができません。そのほかの場面での様子をセラピストに伝えることで、セラピストは、より的確にお子さんを理解しサポートすることができます。 セラピストの考えに同意できないとき、どうしているでしょうか。繰り返しますが、セラピストと保護者は対等です。セラピストの考えに同意できないからといって、ご自身の考えを否定する必要はありません。むしろ、そのような場合は、セラピストがなぜそのように考えるのか、その理由を聞いてみましょう。理由を聞いたら納得できる場合もありますし、話し合うことで別の解決策がみつかるかもしれません。 いかがでしたでしょうか。 保護者の方々がセラピストと良いチームワークを築くための秘訣についてまとめてみました。 セラピストと保護者は、「お子さんの成長」という共通の目標に向かって努力していますが、お子さんを見る視点や立場は異なります。だからこそ、チームワークによって多角的にお子さんの成長をサポートすることができるのです。 保護者の皆様が、担当セラピストと良いチームワークを築いていけるよう、応援しております!

言語聴覚療法における評価の役割について

Speech-Language Evaluation

5月も最終週に入り、夏の気配を感じるようになってきましたが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。 今週は「今週の絵本」をお休みして、言語聴覚療法における評価の役割についてお話したいと思います。長文ですが、大切な情報ですので、ご一読いただければ幸いです。 そもそも、評価って何? 例えば、お子さんが突然発熱(①)したとします。 まず、体温を測り、睡眠をしっかり取るようにし、場合によっては市販薬を飲ませ、熱が下がることを願うでしょう(②)。   しかし翌朝になっても熱は下がらず、小児科を受診することにします(③)。   苦しんでいるわが子を目の前にして、親として「一刻も早く治してほしい」という願いのもと、診察室に入ります。   診察室に入ると、何が行われるでしょうか。 「一刻も早く治してほしい」親心を理解しつつも、医師はすぐに薬を処方したりはしません。   なぜでしょうか?   「一刻も早く治す」ためには、適切な検査を行い、正確に診断する必要があるからです。   医師は、 保護者からお子さんの様子を聞き取り(問診) 体温や呼吸、心拍数などバイタルサインをチェックし、 視診・触診・聴診により、身体の状態をチェックします。 その後、必要に応じて血液検査や画像検査等の検査を実施します(④)。 その結果を総合的に判断し、正確な診断を行い、診断に基づいて投薬等の治療を行います(⑤)。 治療を開始後、3日後、7日後など、症状と治療効果を再評価し(⑥)、完全治癒を確認して治療終了となります(⑦)。 「一刻も早く治してあげたい」ために、検査をせずに治療を開始してしまえば、誤診のため、症状が良くならないどころか、場合によっては症状が悪化し、命にかかわることも起きかねません。すなわち、避けられたはずの重大な問題を招いてしまうことになりかねないのです。 実は、小児の言語聴覚療法におけるステップも同様なのです。 それがどういうことを意味しているのか、もう少し詳しくご説明します。 言語聴覚療法の場合は? 3歳になったのだけど、ことばが数語しか出ていない 思っていることを言葉で表現することができず、うまく伝わらないと癇癪をおこして、おもちゃを投げたり叩いたりしてしまう ミニカーを並べたり数字に興味があるが、おままごとなどのごっこ遊びに興味がなく、一人遊びが多い 数か月前から言葉につまり始め、最近は言葉が出ないときに苦しそうに見える時がある などなど、言葉やコミュケーションの発達のつまずきに、まず親御さんあるいは園の先生など身近な大人が気づきます。これが、上記の①(子どもが突然発熱)の段階になります。 ご家庭で心配事を話し、何とか家庭内で解決を試みる方も多いでしょう。これが発熱の場合だと、「睡眠をしっかりとる」「市販薬を飲む」といった手順②にあたります。 それでも、心配は解消されない場合、言語聴覚士に相談します。これが、上記の③のステップです。 「すぐにでも問題の解決方法を知りたい!」というのが、親心です。 しかし、すぐに言語聴覚療法を開始することはできません。   なぜでしょうか?   もう一度、上記の「発熱」のケースに戻ってみましょう。 「一刻も早く治してあげたい」親心に応えるため、正確な検査・診断をせずに治療を開始してしまったら、誤診につながり、それが症状の悪化や重大な問題を引き起こす可能性があることをお話しました。 言語聴覚療法においても、同じです。 詳細な評価を実施しなければ正確な診断を行うことはできません。すなわち、「問題解決」を求めて言語聴覚士に会っているにも関わらず、症状の改善どころか症状の悪化につながってしまうこともありうるのです。 言語聴覚療法においても、評価(④)・正確な診断(⑤)、再評価(⑥)をしなければ、問題を解決(⑦)することはできないのです。 言語聴覚士は何を評価するの? 言語発達の遅れや対人・コミュニケーションの問題、吃音など、ことばやコミュニケーションに関する心配がある場合、その原因は様々です。 だからこそ、正確に診断するためには、表面に現れている問題だけでなく、潜在的な問題の有無も知る必要があるため、多元的に評価する必要があります。 では、言語聴覚士が行う「多元的な評価」とは、いったい、どういった側面を評価することでしょうか。 【言語】 理解・表出語彙 文法の理解と正しい使用 質問応答 聴覚記銘 聴覚分別 […]

もう12月

もう12月。 今年も残すところあと1か月になりました。   私にとっては16年ぶり、子どもたちにとっては初めて日本で過ごす年末年始になります。   年末の行事・大掃除・大晦日・お正月・・・   慌ただしい時期だからこそ、心を落ち着けて、楽しみながら過ごしていきたいと思います。

みんなちがって みんないい

わたしと小鳥とすずと 金子みすゞ わたしが両手をひろげても、 お空はちっともとべないが、 とべる小鳥はわたしのように、 地面(じべた)をはやくは走れない。 わたしがからだをゆすっても、 きれいな音はでないけど、 あの鳴るすずはわたしのように たくさんのうたは知らないよ。 すずと、小鳥と、それからわたし、 みんなちがって、みんないい。 童謡詩人 金子みすゞさんの詩で、それぞれがそれぞれの素晴らしさを持っていて、それこそが素晴らしいのだということを美しく詩いあげています。 『みんなちがって、みんないい』 ーはずなのに、なぜ、日本の教育現場では、個々の個性・特性を理解し、その個性・特性に合わせた支援を行うことが、これほどまでに難しいのでしょうか。 子どもは一人一人違います。 ー目で見て覚えるのが得意な子ども ー耳から聞く情報から学ぶことが得意な子ども ー体を動かしながら勉強する方が集中しやすい子ども ー1人で勉強する方が好きな子もいれば、誰かと議論しながら勉強する方が好きな子ども みんなちがうー 大人が用意した枠組みにおさまらない子のために、別の枠組みが用意されている教育現場。 でも、子どもはみんなちがいます。 どの枠組みにもおさまらない子もいるのです。 教育は子どもの個性をいかし、子どもの可能性を広げるものであるべきではないでしょうか。 それは、普通学級 か 特別支援学級 か 特別支援学校 という枠組みを用意して、その枠組みに子どもを当てはめることではないはず。 サポートが必要な子どもがいれば、 何が どれだけ どのような形で & どこで 必要なのかを評価し、提供することなのではないでしょうか。 枠組みにおさまらない子どもが悪いんじゃない! だって、子どもは『みんなちがって、みんないい』から。  

旧友との再会

旧友との再会

  研究のために渡米していた、言語聴覚士養成校時代の旧友と10年(以上)ぶりに再会しました。 お互い、すっかり「おじさん」「おばさん」になってしまったことに苦笑しつつも、気持ちはすっかり養成校時代へタイムスリップ。 「○○ちゃんとはよく学会で会うんだけど・・・」 「○○君は今、○○病院で働いていて・・・」 などと、かつての級友たちの近況を聞き、朝から夜中まで学校に残って実習の準備をしていた、養成校時代をとてもなつかしく思い出しました。 アメリカと日本のスピーチセラピーについて議論をかわしつつ、多くを説明しなくても理解しあえていることを感じる『安心感』のようなものに、なんだかほっと心温まる思いでした。 がんばっている同志との再会、本当にすばらしいものでした! 私も負けずにがんばっていこうと思います