セラピーと文化

 

アメリカでインターンをしていたときの話です。

先日お話した、感覚過敏のあるお子さんの摂食セラピーを見学する機会がありました。

そのお子さんは食べ物を消化吸収する身体機能に問題がなかったにも関わらず、感覚過敏のために食べ物を口の中に入れることを拒否していました。

年齢の割にとってもとっても小さなお子さんでした。
そのお子さんを担当したスピーチパソロジスト(以下、SLP)は、そのお子さんの過敏を緩和していくため、まずお子さんに食べ物を触らせることから始めていました。
そこでSLPがしたことは、カップに入ったプリンを子ども用のテーブルの上にガバッとひっくり返し、まるで粘土のように子どもにプリンで遊ばせることでした。

そのとき私は、“すばらしいセラピーのアイディアだ”と理論的に感動する一方で、『食べ物で遊ぶ』ということに対する抵抗感をおぼえ、とても複雑な気持ちで見学していました。

セラピー効果をあげるためには、セラピーで行うことを生活の中でも取り入れていくことが望まれます。
しかし、もし、家族がセラピーの内容を文化的に受け入れられないとしたら、どうなるでしょうか。

例えば、上記のような場面で、私がその子どもの母親だったとしたら、私はそのSLPがしたことを家でもしてみようとするでしょうか?

きっと、しないと思います。

当然の結果ですが、子どもの感覚過敏は思うようには改善していかないかもしれません。

多民族多文化のアメリカ。

アメリカでセラピーを行う上で、お会いする方々の文化的背景を理解することはとても重要です。

たとえ、最善のセラピーから少し遠回りをする結果になるとしても、その家族が受け入れられるようにセラピーの内容を工夫していく必要があると思うのです。

日本国内でも同じことがいえるかもしれません。アメリカほどの文化の差はないにしても、家族あるいは個人の考え方はそれぞれ異なるものですし、その考え方を尊重しつつ、問題解決のためのセラピーをすすめていくことが、最善最大のセラピー効果を生み出してくれる道なのだと思います。

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