これまでも不定期的におすすめの絵本をご紹介してきましたが―
これから『今週の言語発達を促す絵本』として、おすすめの絵本を紹介していきたいと思います。
今週の言語発達を促す絵本は「もりのかくれんぼう」
もりのかくれんぼう 著者:末吉 暁子、イラスト:林 明子、出版:偕成社
公園で遊んだ帰り道、けいこはお兄ちゃんとはぐれて、見たこともない森の中に迷いこんでしまいます。
そこで、「かくれんぼう」という名前の不思議な男の子に出会い、「かくれんぼう」に誘われて森の動物たちと一緒にかくれんぼをします。
けれども、けいこを探していたお兄ちゃんを見たとたん、森だった景色が団地に変わり、握っていたはずのかくれんぼうの手が木の枝になってしまっていた
―というお話で、隠し絵の中に隠れている動物たちを探しながらお話を聞くという、耳と目で楽しめる絵本です。
この絵本を読んで、となりのトトロのお話を思い出しました。
めいが出会ったトトロと、けいこが出会った「かくれんぼう」
どちらも、子どもにしか見えない存在なのかもしれません。
さてさて、この「もりのかくれんぼう」も例にもれず、言語聴覚療法に登場します。
例えば―
語彙
- 「いけがき」「こだち」といった語彙
- 「きんいろに けむったような あきのもり」にあらわされる比喩表現
物語の再現
- 登場人物(と動物)の特定
- 場面設定
- 時系列に沿って、出来事を説明
気持ちをあらわす表現の理解
- 「くちを とがらせて あるいて」いたり「めを かがやかせ」たときのけいこは、どんな気持ちだと思う?
- お兄ちゃんを見つけたとたん、景色が団地に変わり、手に握っていた木の枝を見たとき、けいこは、どんな気持ちだったと思う?
推測
- もしわたし・ぼくが「かくれんぼう」に出会ったら、どうする?どんな気持ち?
などなど、個別療育のアイディアが満載の絵本です。
余談になりますが、ふと、日本だからこそ、「となりのトトロ」や「もりのかくれんぼう」という温かいお話が生まれたのでは、と思いました。
アメリカで子育てをしてきた私にとっては、「子どもだけで公園に遊びに行く」とか、ましてや、「子どもが森に迷い込んで遊ぶ」といった発想は出ない気がしました。
物騒な事件も起きていますが、日本が安全で平和な国であり続けてほしい、と心から思います。