「先生は、お子さんをアメリカ人として育てていらっしゃいますか?日本人として育てていらっしゃいますか?」
これは、ある日、ある日本人のお母様から受けた質問です。
アメリカ(あるいは他の国)で子育てをしている方々が、一度は抱いたことのある疑問なのかもしれません。
「日本語で育児をするか、あるいは英語(あるいは現地の言葉)で育児をするか」という疑問から始まり、「日本人として育てるか、できるだけ現地の人達と馴染めるようにアメリカ人として育てるか」といった文化的な疑問まで、海外での育児に不安・疑問はつきません。
冒頭の質問に戻りますが、私はそのお母様に以下のようにお答えしました。
「私は、自分の子ども達が『アメリカ人』『日本人』という枠組みではなく、アメリカと日本の両方の文化に触れながら育っていく『BILINGUAL & BICULTURAL』児として育っていってくれたらいいと思っています」と。
つまり、日本人の親のもと、アメリカで生まれ育っているわが子達は、日常的に2つの言葉&2つの文化の中で生活しています。「日本人」「アメリカ人」というよりも日本人とアメリカ人の融合体あるいは統合体ともいうべき姿が子ども達の中に息づいているのではないかと思うのです。
すなわち、「日本人」として育てたいからアメリカのことは教えない、あるいは「アメリカ人」として育てたいから日本人としての文化は教えない、というように排他的に考えなくてもよいのではないのではないかと思うのです。
これは、アメリカで生活をする日本人家族だけではなく、日本や他国で生活する国際結婚カップルにもいえるのではないかと思います。
ここでは、「バイリンガル」という言葉の問題だけではありません。
子ども達が将来、どのように自分のアイデンティティを培っていくか、それは、成長の段階で子ども達が触れている言葉や文化を周囲の大人がどう伝えていくか、にも関係すると思います。
彼らが、両方の言葉をバランスよく習得し、両方の文化を肯定的に学びながら育っていけるよう、周囲の大人にできることは何でしょう。
長くなりそうなので、この件については、後日、あらためてお話したいと思います。