聞こえているのに聴こえない

  “Auditory Processing Disorder” ということば、聞いたことあるでしょうか。   日本語に直訳すると『聴回路の障害』ということになります。   簡単にいうと、音は「聞こえている」のだけど、その音を認知・理解する回路に障害がある – つまり「聴こえない」状態のことをいいます。 “Auditory Processing”には4段階のスキルが含まれます。   Auditory Awareness:音がどこから聞こえてくるのかを感知したり、雑音の中から聴くべき情報に注意を向ける力。 Auditory Discrimination:環境音や言語音の違いを聞き分ける力 Auditory Identification:音や言語音を聴き、その音が何か理解すること。また、単語を反対からよんだりする、など音を操作する力。 Auditory Comprehension:聴いた情報を理解したり、記憶したりする力。また、聴いた情報をもとにして考える力。   上記の4段階の力のどこかに問題があると、日常生活に支障が出てきてしまいます。   たとえば・・・ ステップ1:名前を呼ばれているのに気づかない。 ステップ2:「コーヒーとって」「コピーとって」など、似た音同士の単語を聞き間違えてしまう。 ステップ3:しりとりができない ステップ4:教室で先生の説明が理解できない。   ここ最近、この”Auditory Processing”の障害あるいは難しさを持つ子どもたちに数多く出会います。   そういった子どもたちの数が増えているのか、そういった難しさを持つ子どもたちの問題がより意識される世の中になってきたのか、その原因はわかりません。   ただ、こういった子どもたちは、その難しさゆえ『ちゃんと聞いてるの?!』『無視するんじゃない!』など、日常的に必要以上に叱られる機会が多くなり、将来的に自分に自信がもてなくなる、といった二次的障害をもってしまう危険性があります。   聴覚検査では問題なかったのに、ウチの子、聞こえてないみたい・・・ ・教室で、ぼぉーっとしている時間が多く、先生の話を聞いていないみたい・・・ などといった心配が少しでもある場合、早めに専門家に相談し問題の改善をはかることをおすすめします。