今週の絵本 第19弾
今回は、先日いただいた絵本の中から、「ねずみくんのチョッキ」をご紹介します。
「ねずみくんのチョッキ」作:なかえ よしを絵:上野 紀子出版: ポプラ社
おかあさんがあんでくれたチョッキ。「ぴったり にあうでしょう」ねずみくんはうれしそうにポーズをとります。
そこへ、あひるくんがやってきて言います。「ちょっと きせてよ」
そして、さるくん、あしかくん、ライオンくん・・・と次々に動物たちがやってきて、最後にチョッキを着るのはぞうくん。
動物たちが順々に着たチョッキは、ビローンと長く伸びてしまいます。
「いいチョッキだね。ちょっときせてよ。」「うん。」「すこしきついが似合うかな」
という繰り返しの表現がとてもリズミカルで、子どもに大人気の絵本です。
以前の記事で(8年程前になりますが・・・)、繰り返しの多い絵本が子どもの言語発達に重要な役割を果たすことについてお話しましたが、その効果について、再度ご紹介。
1. 子どもが絵本の中で次におきることを予測できる。2. 1つの本の中で、あることばやフレーズを繰り返し聞くことになる→おぼえやすい。3. 繰り返しがフレーズや文の場合、構文の練習になる。4. 話しの強弱やトーンがわかりやすい。5. 子どもが本読みに主体的に参加できる。6. 子ども自身が『読める』という実感をもて、自信につながる。
この「ねずみくんのチョッキ」は、まさに、この「繰り返し」の効果が期待できるおすすめの絵本です。
「繰り返し」の効果は、読み聞かせから得られる効果ですが、さらに、この「ねずみくんのチョッキ」を使って、それぞれのお子さんの発達目標に沿って行う練習課題についていくつかご紹介します。
ねずみくんのチョッキ」には、7匹の動物が登場します。
その動物たちの絵を登場する順番に貼っていきながら、「一番最初」「次」「最後」など、順番を表す言語表現を学びます。
なぞなぞなどのアクティビティを通して、色や大きさ、住んでいる場所や鳴き声など、それぞれの動物を表す表現を学ぶこともできます。
小さかったチョッキが
↓
大きく伸びてしまって
伸びたチョッキでブランコ遊びをした
ーといったように、お話の中の出来事を時系列に沿って理解し表現する練習をします。
それぞれの場面でのねずみくんの気持ちの移り変わりについて理解する練習をします。
そのあと、
といった質問をして、子どもが自分の気持ちを理解できるように促します。
さらに、
「ねずみくんは、ぞうくんが遊んでくれたら、嬉しい気持ちになったんだって。〇〇ちゃんは、悲しい時、どうしたら悲しくなくなるかな?」といった質問を通して、自分の気持ちを理解し、ネガティブな気持ちをコントロールする力を促します。
とてもシンプルな内容の絵本ですが、この絵本を使って様々な言語力の発達を促すことができることがお分かりいただけたと思います。
機会があったら、「ねずみくんのチョッキ」ぜひ手にしてみてくださいね♪