声に出して言ってもよい言葉と、声に出して言ってしまうと誰かを気づけてしまったり嫌な気持ちにさせてしまう言葉があります。
そういった「言うべき」か「言わざるべき」かを選択することを『ソーシャルフィルター』といい、スムーズな人間関係を築いていくためには重要なソーシャルスキルです。
今日は、ソーシャルスキルカリキュラムである Everyday Speech の中の “Think It or Say It” そして “White Lie” をもとに考案した、ソーシャルフィルターを理解するためのアクティビティをご紹介します。
Think It or Say It?
~こころのなかで vs. こえにだして
家族で友人宅に遊びに行き、友人が作ってくれた食事を口にした子どもが一言…
「これ、おいしくなーい!」
一瞬、場面が凍り付く様子が想像できます。
家庭内での食事場面では許される言動が、他の場面では好まれないことがあります。
このように、状況に応じて「声に出して言っても良い言葉」「心の中で言う(声に出して言わない)言葉」を理解するためのアクティビティがこちらです。
『Think It(こころのなかで) vs. Say It(こえにだして)』
紙に書かれた言葉を見て、その言葉を言う、あるいは聞く場面を想像します。そして、それが、声に出して言っても良い言葉かどうかを考えます。
本当の気持ち vs. 声に出して言う言葉
続いて、本当の気持ちと、誰かを傷つけたり嫌な気持ちにさせないよう、正直な気持ちをそのまま声に出して言うのではなく、別の表現を考える練習をします。
例① 誕生日プレゼントにはレゴセットが欲しいと思っていたケン君。おじいちゃん・おばあちゃんが用意したプレゼントは、色鉛筆。プレゼントの箱を開けてがっかりしたケン君。おじいちゃんとおばあちゃんの気持ちをかんがえると、何といえばよいでしょうか。
例② 最近、視力がおちてきたミキちゃん。ある日、眼鏡をかけてきました。眼鏡をかけたミキちゃんも見て、違和感を感じたアキト君。みんなに何と言われるのか心配しているミキちゃんの気持ちを考えると、何といえばよいでしょうか。
例③ 仲良しのお友だち4人で映画に行こうという話がでました。でも、アキラ君、3人が行きたいと言っている映画は、正直面白くないと思っています。でも、お友だちの気持ちを考えると、「面白くないから行かない!」と言う代わりに、何といえばよいでしょうか。
White Lies vs. Black Lies
~ついてもいいウソ vs. ついたらいけないウソ
そして、ついてもいいウソとついたらいけないウソの違い、それぞれのウソが相手に与える影響について、考えます。
先ほどの例①で考えてみます。
本当は
「えー、僕、色鉛筆なんかいらない。僕はレゴが欲しかったのにー」
と思ったケン君。その直後、その言葉をフィルターにかけます。そして、その言葉を口にすると、ケン君のことを考えてプレゼントを選んでくれたおじいちゃんとおばあちゃんを悲しませてしまうことに気づきます。そして、
「プレゼントありがとう!うれしいよ。」
というウソをつきます。このウソは、おじいちゃんとおばあちゃんを傷つけたくないという思いやりからのウソであり、これは「ついてもいいウソ」であるという結論にいたります。
このアクティビティを通して、「ついてもいいウソ」と「ついてはいけないウソ」を学び、自分の言動が相手に与える影響について考えます。
世の中には「暗黙の了解」が数多く存在します。
この「ソーシャルフィルター」も「暗黙の了解」と捉えられがちなことだと思います。しかしながら、そうした「暗黙の了解」を理解することが難しいお子さんも少なくありません。
「言わなくてもわかるでしょ!」と叱るのではなく、お子さんが理解できるように教えてあげることで、お子さんは「暗黙のルール」につまずいてしまうことが減り、よりスムーズに人間関係を構築していけるのです。