先日、図書館に寄った際にふと目に留まった絵本がこちら
“The Family of Fourteen Fix Breakfast” (著:いわむら かずお、訳:アーサー・ビナード、出版:童心社)
日本語ではご存じの方も多いこの本『14ひきのあさごはん』(著:いわむらかずお、出版:童心社)
わが子が幼い頃に入手し、それ以来気に入って、言語聴覚療法でもよく登場する絵本です。
今回、初めて英訳されたものを手にして、その翻訳の美しさに感動しました。
例えば、書き出しの文。
日本語では「もりの あさ。はやおき いちばんは おじいさん。」
これが英語では “Morning sunlight fills the forest. As always, Grandpa is the first one up.”
となっています。
そして、14ひきが起きて、顔を洗うシーン。
日本語「ぷるん ぷるん、つめたい みずで かおを あらって、いい きもち。おや、まだ ねむそうなのは だれ?」
これが英語になると “Splish-splosh, wash-a-wash, the water’s so cold and refreshing. Everyone’s bright-eyed and bushy-tailed… Well, almost everyone.”
明らかに直訳ではない、素晴らしい表現。
例えば、最初の例にある「はやおき いちばんは おじいさん」というフレーズが “As always, Grandpa is the first one up.”と訳されているところなどは、日本語に込められた著者の思いも十分に配慮した訳になっていると思うのです。
また、2番目の例では、日本語に多い擬態語の表現があります。
擬態語の英訳は、本当に難しいところだと思います。
それを、英語らしい表現で、しかも子どもたちが読みやすい&聞きやすい表現を使って訳されていることに感動しながら読み進めました。
ことばは、そのことばを話す人々の文化を反映するものです。
だからこそ、直訳はあまり意味をなしません。
ことばの専門家として、「日本語らしさ」「英語らしさ」も含めて子どもたちに伝えていきたいなと思います。