秋も深まり、エノコログサ(通称:ねこじゃらし)が黄金色に輝いています。
そんなねこじゃらしを目にして、ふと、在米中、日本人のお子さんのスピーチセラピーで「ノンタンこちょこちょこちょ」を読んでいたときのことを思い出しました。
”いたずら ねこじゃらしが、
こちょこちょこちょ。
おでこを こちょ こちょ、
ほっぺを こちょ こちょ。”
そのとき、お子さんが言いました。
「ねこじゃらしってなぁに?」
ハッとしました。
そうなのです、私が住んでいた地域では、ねこじゃらしを目にすることはなかったのです。
「ねこじゃらし」を触ったことはもちろん、見たこともなかったお子さんには「ねこじゃらし」の意味がわからず、その単語がわからないために、ストーリーを楽しむこともできなかったのです。
語彙力をつけていくためには、量よりも質が大事だと言われています。
単語カードに単語と意味を書いて覚えるだけでは、その単語を使いこなせるようにはなりません。
その語彙を見て聞いて経験してこそ、生きた語彙が拡がっていきます。
話を『ねこじゃらし』に戻します。
例えば、そのお子さんが一時帰国の際に、道端にはえているねこじゃらしを見て、ねこじゃらしを引っこ抜いて、お姉ちゃんとこちょこちょして遊んだとします。
そこから「ねこじゃらし」という語彙だけでなく、
– ねこじゃらしの穂が垂れ下がっている様子
– 黄金色に輝く様子
– 引っこ抜く時の感触
– お姉ちゃんとこちょこちょして遊んだ記憶
などがすべてセットになって、「ねこじゃらし」「穂」「垂れ下がる」「黄金色」「引っこ抜く」「くすぐったい」など、多くの語彙を学ぶことができるのです。
これこそ、生きた語彙学習だと思います。
暑くも寒くもない今の季節。お散歩が楽しい季節です。
ぜひ、お子さんに様々な経験をさせてあげてください。
そして、その経験を言葉にして伝えてあげてくださいね!