「きもち」のほん

前回の『気持ちの理解と表現』の中で、自分の気持ちをや周囲の人の気持ちを理解し表現する力が大切だというお話をしました。 日常生活の中で、お子さんが気持ちを理解し表現できるよう促す方法のいくつかをご紹介しましたが、それでもなかなか難しい場合、その課題を取り出して練習することで、『気持ち』を意識することができます。 そこでー お子さんが自分の気持ちを理解し表現するための教材をご紹介したいと思います。   『きもちのほん』 教材は2部構成。以前ご紹介したインタラクティブタイプの教材で、絵カードを操作しながら読み進めていきます。   「きもち」のほん 各ページに「うれしい」「かなしい」「おこっている」「たのしい」「びっくり」「はずかしい」「こわい」「ほっとする」の8つの気持ちを表す絵が描かれています。最後のページにある20個の状況絵を見ながら、それぞれの気持ちになる状況と理由を考えます。   「どんなきもち?」のほん 各ページに状況絵が描かれており、その状況におかれたときどういった気持ちになるのかを考えながら、最後のページにある気持ちを表す絵カードを配置していきます。   どうぞお試しください♪   ダウンロード教材はこちら   英語バージョンはこちら

気持ちの理解と表現

気持ちの理解と表現

自分の気持ち、そして周囲の人の気持ちを理解し表現する力は、とても重要なソーシャルスキルです。   例えば、以下のようなシーンを想像してみましょう。   A君はとても元気な7歳の男の子です。 学校が終わるといつも元気に「ただいまー!」と言いながら玄関のドアを開けて帰ってきます。そしてすぐにキッチンにいるお母さんの元に行き、学校であったことを報告します。 でも今日はいつもと様子が違いました。 玄関のドアを開け、小さな声で「ただいまー」と言って中に入ってきましたが、そのまま何も言わず、ソファーに座って下を向いています。 さて、みなさんは、A君の気持ちを想像できましたでしょうか。 A君の表情や動作、声のトーンから何がわかるでしょうか。   表情:いつもは笑顔で帰宅するのに、今日は下を向いている。 動作:いつもは元気に玄関のドアを開けて帰ってきて、すぐにお母さんのところに行き、学校であったことを報告するが、今日は、家の中に入ったあと、何も言わずにソソファーに座っている。 声のトーン:いつもは元気の良い声で「ただいまー」と言うが、今日は小さな声で「ただいまー」と言った。   これらの手がかりをもとに、A君は気持ちは「悲しい」気持ち、あるいは「落ち込んでいる」であろうと想像できます。   A君の気持ちを理解することができると、「どうしたの?」「何か嫌なことがあったの?」とA君の気持ちに寄り添う対応ができ、A君が元気になるように励ますこともできます。   もし、A君のサインに気づかずA君の気持ちを理解できなかったらどうなるでしょうか。   おそらく、A君の気持ちに寄り添ったり励ましたりすることができず、A君は悲しい気持ちのまま次の日を迎えてしまうかもしれません。   そして、もし、A君自身が自分の気持ちを表現することができなかったらどうなるでしょうか。   ネガティブな気持ちになっているという自分の状態やその理由を特定したり解決方法を考えることができず、「やる気がなくなる」「乱暴になる」等の行動でその状態を表現することになり、それにより「やる気がない」「乱暴な子」という印象を与えることにより、周囲の人との間で誤解を生んでしまうかもしれません。   このように見ていくと、自分と周囲の人の気持を理解することはとても重要なスキルであることがわかります。   すなわち、自分の気持ちを理解し表現する力をつけることにより、自分の気持ちや行動をコントロールすることができるようになります。 また、周囲の人の気持ちを理解することで、円滑なコミュニケーションを図ることができるのです。   お子さんが気持ちを理解し表現できるように、周囲の大人はどうしたらよいでしょうか。   例えば・・・ 1. 周囲の大人が気持ちを言語化し、その気持ちの理由を説明してあげる。 「お父さん、今日、電車に乗り遅れちゃったんだよ。早く帰って○○ちゃんに会いたかったから、すごくくやしくて、こんな顔になっちゃったよ。」 「あら、○○くん、お部屋をきれいに片付けられたね。お母さん、とってもうれしい!」   2. また、絵本やテレビを見ながら、登場人物の気持ちについてお話する。 「言わなくてもわかる」ではなく、「わかるようにように伝える」ことで、お子さんが気持ちを理解し表現できるように促してあげましょう。  

手作りフィジットトイ

先日、Facebook ページでご紹介した手作りfidget、早速トライしてみました。   【材料】 片栗粉(動画ではコーンスターチが使われていますが、片栗粉で代用しました) 水 空のペットボトル 風船 *その他、動画では食紅を使っていましたが、今回は使用しませんでした。   【手順】 片栗粉に少しずつ水を混ぜながら、硬さを調節します。 よく混ぜたら、空のペットボトルの中に入れます。 ペットボトルの口の部分に風船をかぶせて反対向きにし、中身を風船の中にうつします。 風船の口を縛り、ネットをかぶせます。 できあがり!   最初、小学生の娘と作っていたのですが、「何作ってるのぉ〜」と途中から中学生の息子も参戦。 気づけば、家族の一大(?)プロジェクトのような盛り上がりに。 そして、出来上がったのがこちら。                 【手順】1の段階で、片栗粉に水を加えた時のことです。娘が “Oh, this is oobleck!(これ、ウーブレックだ!)” と叫び、息子も”Oh yeah, that’s oobleck!(ホントだ、それ、ウーブレックだね!)”と、二人でアメリカの学校で経験したウーブレックの実験の話で盛り上がってました(笑) *「ウーブレック」とは、片栗粉かコーンスターチを水に溶かした状態のもので、ゆっくり触ると液体のようですが、ボウルに入れた状態で上からすばやくパンチしたりぎゅっと握ると固体のようになる流体のことを言います。   子どもと一緒に何かを手作りすることの醍醐味がここにあると思います。 ☆自然と家族が集まってくる ☆一緒に作業しながら、会話が広がる   いろいろな手作り、お子様と一緒に楽しんでくださいね♪    

ジェスチャーの発達

ジェスチャーの発達

「ことばの発達」というと、「話し言葉」である「ことば」に注意が向きがちですが、実は、初めての言葉が出る前にもコミュニケーションの発達上、とっても重要なスキルが獲得されているのです。 それがジェスチャーです。   『ジェスチャー』と聞いて、「バイバイ」とかわいく手を振るお子さんの姿を思い浮かべた方も多いかもしれません。 このジェスチャー、実はとっても奥が深く、発達とともに変化していきながら、話し言葉への架け橋として重要な役割を果たしているのです。 ではまず、ジェスチャーの発達について見ていきましょう。   7か月~9か月 手のひらを広げて欲しいものの方に手を伸ばしたり、抱っこを求めて手を伸ばしたり、嫌なものを手で押しやるなど、要求を直接的に表現するためのジェスチャーが出てきます。 10か月~12か月 ママを見ながら欲しいものに手を伸ばしたり、声を出しながら抱っこを求めて手を伸ばすなど、視線や発声とジェスチャーを組み合わせて思いを伝えようとします。指差しが出るのもこの頃です。 12か月~24か月 1歳を過ぎたころから、ジュースを飲む真似や電話でお話しする真似をしながら思いを伝えるといったジェスチャーが出てきます。 18か月頃になると、身振りをしながらその身振りがあらわすことばを発する場面が出てきます。そこから徐々に、身振りとそれが意味することばとは異なる意味のことばを発します。たとえば、電話でお話しする身振りをしながら「ママ」といい、「ママがお電話でお話ししている」ということ表現するようになってきます。それからしばらくすると、「ママ、もしもし」のような2語文を使って表現するようになってきます。   このように見ていくと、言語発達におけるジェスチャーの果たす役割の大きさがわかります。   では、どのようにジェスチャーの使用を促してあげるとよいのでしょうか。 ・指さしやジェスチャーを積極的に使用しながら語りかけてあげましょう。 ・ジェスチャーを使う際は、かならず、そのジェスチャーが意味することばを言いながらジェスチャーを見せてあげましょう。 ・お子さんがジェスチャーを使って表現したら、そのジェスチャーを真似しながらそれが意味することばを言ってあげましょう。   ことばはまだ出ていなくても、表現したい思いはたくさん持っている子どもたち。 その思いをしっかり受け止めてあげながら、その思いをひろげてあげましょう。  

ダウンロード教材用グッズ

「ダウンロード教材の印刷は普通紙で大丈夫ですか?」 というご質問をいただきました。 同じ疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもーと思い、質問をくださった方の了承を得て、私が使用している用紙と、印刷後、絵カードを作成するのに使用しているツールをご紹介したいと思います。   用紙について 神経衰弱等、カードを裏返して使用する必要があるかどうかによって、普通紙を使用するか厚手の用紙を使用するかを判断していただけるとよいと思います。   普通紙 厚手用紙   上記の写真を見比べていただけるとお気づきかと思いますが、普通紙に印刷すると裏返したときに表の絵が見えてしまうのに対し、厚手の用紙の場合、裏からはうっすらしか見えません。   印刷後の工程について 用紙に印刷後、ラミネート加工し、ペーパーカッターで裁断します。   すると、以下のような絵カードのできあがります♪   かるた遊び等カードを裏返して使用する必要がない場合は、普通紙に印刷してラミネート加工するだけでも十分な耐久性が得られますので、用途に応じて用紙を使い分けていただけるとよいかと思います。 ちなみに今回使用した用紙とラミネートフィルムはこちらです↓    ご参考にしていただければ幸いです。

Halloween Articulation S Fun Packet

Halloween is only a month away! Kids are getting excited about costumes and candy here in Japan, too. So, let’s use this excitement of Halloween for kids to enjoy speech activities.   Halloween Articulation S Fun Packet Target Sounds: Initial S, Medial S, Final S & S-Blends This packet includes: Picture Cards BING Game Hidden […]

カテゴリーワークブック

昨日、カテゴリー概念と生活の中でカテゴリー理解を促す方法をご紹介しました。 実際のところ、生活の中だけでカテゴリー概念を理解することが難しいお子さんも多くいます。 でも、生活の中で獲得が難しいところを取り出して少し練習してあげることで、つまづきを克服できるお子さんも多くいるのです。   そんなお子さんのための教材を作成しました。   『カテゴリー』ワークブック 絵カード&文字単語カード ちがうカテゴリーさがし カテゴリーマッチング カテゴリー名 カテゴリー色分け 用途説明 という構成になっています。   日本語教材はコチラから 英語バージョンはコチラから  

カテゴリー

お買い物をしにスーパーに行った時のことを想像してみてください。 キャベツ りんご 鶏肉 牛乳 にんじん 食パン きゅうり   買い物リストにある食品をどのように見つけているでしょうか。 キャベツ・きゅうり・にんじん→野菜コーナー りんご→果物コーナー 鶏肉→精肉コーナー 牛乳→乳製品コーナー 食パン→パンコーナー といったように、買い物リストにある食品をカテゴリー分けし、それらの食品が陳列されているコーナーに行き、目的の食品を見つけていることと思います。   私たちが無意識に行なっているカテゴリー分け。   実はこれ、私たちが生活していく上でとても重要な概念なのです。   例えば、上述のスーパーでの買い物を再びイメージしてみてください。   カテゴリー分けすることができないとしたら、どうなるでしょうか?   どのコーナーに行けば目的の食材が見つかるのか、検討もつかなくなってしまうでしょう。 また、野菜コーナーに行ったり精肉コーナーに行ったり乳製品コーナーに行ったり、そしてまた野菜コーナーに戻ったり・・・と時間と労力のかかるお買い物になってしまうでしょう。   スーパーだけではありません。 デパート 図書館 動物園 等々 私たちの周りにある場所はものは共通のルールに基づいたカテゴリーで分類・整理されているのです。   同様に、私たちはあらゆる情報を、頭の中でカテゴリー別に整理しながら理解・貯蔵しています。   例えば、初めてある人に会ったとします。その人の顔や名前をどのように覚えるでしょうか。 その時に、その人に会った場所やその人との関係性、その人を紹介してくれた人などの関連性を紐づけておくことで、その人の顔や名前を覚えやすくなり、次に別の場所で会った場合でも「あれ、あの人、会ったことあるけど、どこであったかしら?お名前は?」と戸惑うことがなくなります。   このように『カテゴリー』概念を利用することにより、私たちは新しい情報を効率的に学んだり、記憶したり、その新しい情報を使って何か別のことを表現することもできるのです。   『カテゴリー』概念の理解は3歳頃からできるようになります。 使ったおもちゃを分類しながらお片づけをすることを促してあげたり、お買い物に一緒に行って、目的の食材の場所を当てっこしたりー   毎日の生活の中でカテゴリーの理解を促してあげるといいですね!

音韻認識力ワークブック

来年4月に就学を控えているお子さんをお持ちの方々は、そろそろ就学のための学習準備を考え始める頃かもしれません。 就学までにひらがなを書けることを目指そうとひらがなを書く練習を始める方も多いかと思います。 しかし、ひらがなの読み書きができるようになるためには、ひらがなを書く練習をするだけでは十分ではないことをご存知でしょうか。 ひらがなの読み書き、特に『読む』ことができるようになるためには、『音韻意識(Phonological Awareness)』が果たす役割が大きいのです。 『音韻意識(Phonological Awareness)』とは、単語を構成している『音』を理解し、その『音』を操作して単語を構成することができる力です。   単語を『音』の単位に分解する力: 「たまご」が「た・ま・ご」の3つの音ができてることを理解。   『音』を組み合わせて単語を構成する力: 「た」「ま」「ご」、この3つの音を組み合わせてできる言葉は?→「たまご」   単語内の『音』を操作(削除・追加・入れ替え)する力: 「たまご」の「ま」を言わずに言うと?→「たこ」(削除) 「たまご」の「ご」を「り」に変えると?→「たまり」(入れ替え)   ーということで、音韻認識力をアップさせるワークブックを作成しました!   音韻認識力ワーク   なんと全90ページで、これ1冊でひらがなを読む力がしっかりと身につく構成になっています。 ワークブックの構成は以下のとおりです。 ・音節分解:音の数はいくつかな? ・音節・単語の合成:音と音の足し算 ・文字&絵合わせパズル ・文字マッチング ・単語構成 ・絵とひらがなマッチング ・ことばをあつめよう ・音韻操作:音であそぼう! ・ひらがなかるた ぜひお試しください♪      

絵本の紹介~言語発達「がたん ごとん がたん ごとん」

私がST1年生だった頃、同じ職場に勤めていた保育士さんの読み聞かせの場に遭遇し、子どもたちと同じように食い入るように見入ってしまった絵本。 それから20年来、愛用し続けている絵本ー それが 『がたん ごとん がたん ごとん』 です。   著:安西 水丸、出版:福音館書店   「がたん ごとん がたん ごとん」という電車の音と「のせてくださーい」の繰り返し。 そして、最後、電車は「しゅうてんでーす みんなおりてください」と言って去っていきます。 このシンプルな繰り返しが、たまらない! そこから電車ごっこが始まることもしばしば・・・ 子どもたち(特に男の子!)が大好きなこの絵本をセラピーに使わない手はありません。 昨日の記事『乗り物インタラクティブブック』でご紹介コンセプトと一緒ですが、絵本を読みながら、子どもたちにも積極的に参加してもらいながら、お話や絵本に描かれている絵の理解を促します。   子どもたちのことばの発達を促すポイントの1つは 「やらされてる」感がもたせないことだと思います。   「楽しい!」と思いながらアクティビティーに取り組んで、「あれ?」「いつの間にかいっぱいお話できるようになってる!」「お話するのって楽しい!」 子どもたちにそう感じて欲しいな〜と願いつつ、日々のセラピーを楽しんでいます。   繰りかえしの多い本をおすすめする理由については、以前の記事をご覧くださいね〜